南相馬市立総合病院

研修医の声

研修医の声

VOICE01

責任を持って治療に携わることで初めて本当の医療を学ぶことができたと感じています

森田直樹

研修期間:令和4年~令和6年

福島県立医科大学卒

令和5年度 初期研修医森田直樹

Q1 研修先に選んだ理由

私は学生時代から、将来は精神科に進みたいと考えていました。震災と放射線災害を経験した南相馬市では、目に見える災害の痕は少なくなり市民の数も増えてきているものの、患者の背景には決して災害と無関係ではなく特有の問題があると感じました。この地域で診療に携わることで、自分の目標のために貴重な経験ができると考えました。
「精神科のない病院をなぜ選んだのか」と問われることが多いですが、精神科の先輩医師には「研修医期間は内科を含めて全身が診れるように」とアドバイスを頂きました。自身でも、最先端で専門性の高い内容ではなくとも身体科のプライマリケアを十分習得したいと考えていました。当院は相双地区全域の医療圏をカバーしており、中通りや会津、いわきのように近隣に医療機関がいくつもあるわけではありません。そのため診療科の有無に関わらず、一次救急からヘリ搬送の重症例まで当院に運ばれてきます。研修医は当直に加え、平日日中も救急当番を決め、無理のない範囲でfirst touchを行うシステムになっているので多くの症例を経験することができます。また各診療科は1-3人の少人数チーム制なので、研修医は「勉強に来たお客さん」ではなくチームの一員として診療に参加します。責任を持って治療に携わることで初めて本当の医療を学ぶことができたと感じています。

Q2 研修でよかったこと

当院で研修してみて、実際に震災を契機に心身の不調をきたした患者さんや、高齢であり認知症やせん妄を発症した患者さん、退院調整に家族や自宅の問題を多く抱える患者さんを経験することができました。また精神科がないため、これらの患者さんの診療については治療方針も含めて私自身に一任されることが多く、とても貴重な経験になりました。発展途上の小さな総合病院なので、各診療科の先生やスタッフがお互いにわからないところを質問したり、自分の知識を共有したりしやすい環境でした。院長は脳神経外科医のトップとして診療に参加しており、脳外科研修中は私たちの教育も熱心に行ってくれました。

研修時の様子①

研修医の関わる業務や責任は多く、自分が医師として仕事をしていて患者さんの病気を治し、病院の役にたっているという実感が十分ありました。一方病院で十分働いているという自負があるからこそ、業務外のプライベートは気兼ねなく自分の好きなように過ごすことができました。院長、指導医、師長をはじめ病院全体が研修医の存在や成長に興味・関心を示してくれました。スタッフとの距離感も近く、個人的な友人もできました。

Q3 オフの過ごし方

宿舎のアパートは1LDKで十分広く、給与も他病院と比較して高く設定されているため、生活で不自由することはありません。買い物や温泉のために仙台やいわき、福島へよく出かけていました。夏休みや年休を利用して2年とも国内旅行に行きました。自家用車、常磐線を利用して東京へも数回出かけました。気持ちが晴れない時やすることがなくて退屈な時は、海を眺めて一日過ごしていたこともありました。指導医とバイクのツーリングに行ったり看護師さん達と仕事終わりに食事に行ったりしたこともありました。

Q4 南相馬の魅力

最低限のお店はある海の近い静かな田舎です。私自身、福島の田舎育ちですが、20時を過ぎると車の音も聞こえないくらい静かなこの町が好きです。南相馬の海はサーフィンの聖地として有名なようです。しかし、海に行っても車やバイクがたむろしていないのが良いところです。

研修時の様子➁

Q5 後輩へのメッセージ

当院に興味を持って頂きありがとうございます。
これから研修病院を考える皆様に2つお伝えしたいことがあります。1つめは、今から将来自分がどんなことをやりたいか、どんな医師になりたいかを想像してそのために何を学ぶ必要があるか考えておいてください。言われたこと、やらなくちゃいけないことをこなすだけで終わってしまう研修ではもったいないです。わからないことを先輩や上司に気兼ねなく聞くこと、バックアップが十分な状態で診療をすること、自分の診療科以外の勉強ができること、プレゼンやカルテ記載、コミュニケーションの指導を受けられることなど、初期研修医だけの特権はたくさんあります。
2つめは、自分に合った病院をみつけてください。私自身は引っ込み思案で同期との焦りを感じたくなかったので、研修医の多くない当院でのびのび研修させてもらいました。「同期・先輩が多いから助かる」、「ハイポ=やる気がない」「アットホームな雰囲気=みんな優しい」と一概に決めつけるのは良くないと感じています。実際に他院で研修環境が合わずに研修をドロップアウトした大学時代の同期もいます。病院の規模、診療科、医師の数、救急受入数、病院の雰囲気(医局、病棟、患者層)、待遇など、病院によってまったく異なります。結局どんな研修にするかは自分次第なのですが、病院のせいにして自分で自分に言い訳をすることがないよう、研修病院選びは自分自身でよく考えた方が良いと思います。
つらいことやうまくいかないこともありますが、私は今この研修期間が人生で一番楽しいです!それがこの病院の一番のPRと言えるのではないでしょうか。
まだまだ書きたいことがあるくらい、当院の研修での思い出はたくさんあります。ぜひ病院見学に来ていただき、当院の魅力を肌で感じとってください。お待ちしております。